南台病院で行っている心臓のルーチン検査
聴診 ほとんどの診察で聴診を行いますが、心雑音は偶然見つかるケースが多いです。 当然その時には心不全の兆候は現れていません。この症状の出ていない時期から 定期的に検査をし、必要に応じて治療していくことが重要になります。 |
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レントゲン検査 心臓の大きさを背骨の長さと比較して測定する。(VHS測定) 心臓のどの部分が大きくなっているか調べる。 (右側か左側か大動脈か肺動脈かなど) 肺や気管、気管支の状態を調べる。 (咳をしている場合など、その原因が気管が心臓に圧迫されてなのか、 肺水腫のためか、その他の病気があるためか調べます。) 左のレントゲン写真は上下同じ犬で撮影したものです。 僧帽弁閉鎖不全により約3年後(上写真)の時点で、心臓の大幅な拡大がみられます。 |
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エコー検査 心臓のエコー検査の際は検査用低反発マットの上に動物を寝かせ、 心電図を確認しながら進めていきます。30〜40分ぐらいの検査時間です。 まず大まかに心臓の内腔、筋肉の厚さや形などのバランスを評価する。 カラードップラー法にて異常な血流がないか調べる。 心臓の中の血流の方向や速度が画面上で色分けされるため、 ほとんどの病名がこの方法で分かります。 Mモード法にて A. 左心房と大動脈の内腔比(LA/AO比)を測定 ・・・・・左心房の拡大があれば増加します。(健常では1.0) B. 左心室内径短縮率(FS)と左心室拡張末期径(LVIDd)をセットで測定 ・・・・・FSは心臓がどのぐらい縮んでいるかを%で表します。心疾患により、 これが増加している場合は、心臓の筋肉(心筋)の疲弊を来たすため、 クスリでコントロールする必要があります。 またLVIDdは僧帽弁閉鎖不全症などの病態が進んだ場合に増加します。 (=左心室の内腔が拡張する。) その場合にFSが正常であったとしても、心筋の疲弊を招く恐れが出てきます。 連続波ドップラー法にて異常血流(高速血流)の速度を測定 異常血流は速度が極端に速いために、カラードップラー法ではモザイク状の カラー表示が得られます。その部分を含めて周囲の血流速を測定します。 ・ 大動脈弁狭窄症や肺動脈弁狭窄症では、この異常血流の速度の違いにより、 重症度を判定します。重度の場合は手術が必要になる場合があります。 ・ 僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症では逆流している血流速度の測定により、 肺水腫や肺高血圧症の危険が迫っているかどうかが判ります。その場合、 危険を回避するために、薬の種類を加える必要があります。 パルスドップラー法にて正常あるいは正常に近いと思われる血流の速度や、 その加速や減速の様子を評価する。 ・ 肺動脈での血流の加速点が早期の場合は肺高血圧の疑いが出てきます。 ・ 左心室での左心室拡張時に起こるE波、左心房収縮時のA波の速度や 比を求めることにより、どの程度病状が進んだものなのか、肺水腫の危険が 迫っているかどうかなどが判ります。 |
心電図検査 突然倒れてしまう。疲れやすくなった。など心不全に係わる症状が出た場合や、 肺水腫の治療歴がある動物、症状は現れないが心拍数が正常よりも遅いあるいは 速い場合などは、特に重要な検査です。 また僧帽弁閉鎖不全症(左房室弁異常)では進行すると心房細動(心房のケイレン) などの不整脈が起こることがあり、検出された場合は、余命が短いことが知られています。 |
オプションで行っている心臓の検査
ホルター心電図検査 24時間不整脈を監視する心電図検査で、突然の失神や痙攣(けいれん)、 脱力感、排泄などの症状があり、上記の心電図検査で異常が認められない場合、 行っております。診察室では動物は緊張するため、不整脈が検出されないことが多く、 ある時間帯(夜間や早朝など)に限り発生する場合があります。 この検査で重篤な不整脈が見つかった場合は、 抗不整脈薬やペースメーカー植込み手術などにより治療します。 装置は小型犬、猫でも装着出来るように小型で、コード類の 装着後も、いたずら出来ないように専用のジャケットを着させるようになっております。 検査時は入院はせず、自宅で1〜2日間いつも通り、過ごしてもらいます。 |
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非選択的心血管造影検査 レントゲンの透視装置を使い、前足の血管から造影剤を入れて、 リアルタイムで心臓内部や付属する血管の血液の流れを評価します。 エコー検査で病気が診断できない場合に行います。 |